霊運院の現状と再建に向けて
栄光の歴史と、50年の沈黙
霊運院は、江戸時代中期に徳川九代将軍・家重公により「徳川家特別祈願所」として建立されました。かつては幕府より十万石の格式をもって遇され、壮麗な七堂伽藍を誇った大寺院でした。
しかし、その後の歴史は苦難の連続でした。大火、震災、戦災……。その都度、不屈の精神で復興を遂げてきましたが、時代の波には抗えず、現在は東村山市の住宅街の一角にひっそりと佇んでいます。
現在の霊運院は、約90坪という小さく限られた敷地に、老朽化した建物が残るのみです。過去50年以上にわたり「無住(住職が住んでいない状態)」が続き、かつての威光を知る由もないほど、お寺は荒廃した状態にあります。
この「小さく、ボロボロの状態」だからこそ、霊運院が現代に生まれ変わるための「原点」であると捉えています。


描かれているのは深川にあった際の霊運院境内
失われた本尊と、再興への誓い
当院と「不動明王」の縁は深く、古くは徳川家康公の命を救った「身代わり不動」の伝説や、先代住職が霊夢に導かれて五大明王を勧請した歴史がございます。 しかし、度重なる火災の歴史の中で、大切なご本尊も焼失の憂き目に遭いました。
現在、本堂には不動明王様がいらっしゃいません。 私はこの再建にあたり、改めて現代の仏師を探し、新たな不動明王像を彫像・勧請する計画を立てております。それは単に像を置くということではなく、「祈りの火」を灯すという決意の表れです。
現代における「住職」と「お寺」の在り方
現在、私は埼玉県に住まいを持ちながら、東村山の霊運院へ通い、管理・運営を行っております。「お寺に住職が住んでいない」ということは、一般的なお寺とかけ離れているイメージがあるかと思います。 しかし、お寺という閉じた世界に籠もるのではなく、外の世界(社会)に身を置きながら客観的にお寺を見つめることで、従来の慣習にとらわれない新しい発想が生まれると考えています。
私が目指すのは、立派な建物を建てることだけではありません。「現代社会の流れに合った、開かれたお寺」を建設することです。
今後の構想:最新機器がつなぐ、プライベートな祈りの場
現代は、供養の形も家族の在り方も多様化しています。 「お寺は敷居が高い」「僧侶への気遣いが大変」といったお声に対し、霊運院では物理的な再建と並行して、最新のデジタル技術を活用した「スマートなお寺運営」を構想しています。
私たちが目指すのは、**「無人で貸し切り利用ができるお寺」**です。 Google Homeをはじめとするスマート家電や、オンライン予約システムを導入することで、遠隔地からでもお寺の状況を管理・把握できる体制を整えます。これにより、僧侶が常駐していなくても、安心して皆様に本堂をお使いいただける仕組みを考えております。
【具体的な活用イメージ】
- スムーズな予約と入退室 レンタルスペースのようなシステムを導入し、スマホ一つで空き状況の確認から予約まで完結。スマートロック等により、鍵の受け渡しの手間なくスムーズに入退室が完了。
- 16名様までのプライベート法要 最大16名様ほどが着座できる空間をご用意。ご親族や親しい方々だけで、周囲に気兼ねすることなく、心ゆくまで故人様を偲ぶ法要や集いを行っていただけます。
- 安心の遠隔見守り 無人ではありますが、管理者は遠隔システムを通じて常にお寺の安全や状況を見守っております。何かあればすぐに対応できる安心感と、誰にも邪魔されない静寂な時間を両立させます。
歴史ある徳川ゆかりの「新寺」は、令和の技術を取り入れ、現代の暮らしにフィットした「新寺」へと進化します。 何もない場所からの再出発、そして前例のない挑戦を、どうか温かく見守っていただければ幸いです。
